トップインタビュー

Naohiko Ono

2025年3月期はどのような1年でしたか?

主軸のカメラ事業は引き続き新製品の販売やA Iの活用による購買動機の創造で堅調に推移した一方で、時計事業は為替変動の影響もあり、第2四半期以降は軟調な推移となりました。

お客様向けサービスとしては、「シュッピンポイントプログラム」のバリューアップを実施いたしました。具体的には、商品購入時にポイント払いを選択された場合でも、購入金額の全額に対して新たなポイントが付与される仕組みです。お客様がお買い物を続けていただく限り「ポイントが永遠に減らない」継続的な価値循環を実現しました。他社にはあまり見られない仕組みだと思いますが、私自身が「せっかく貯めたポイントを使ったら新たなポイントがもらえないのは残念だ」と感じたことがきっかけです。そうした経緯もあって今回バリューアップを実施したのですが、常にお客様視点に立ち、サービスを見直し、そこから新たな価値創出につなげる姿勢は、今後も変わらず大切にしていきたいと考えています。

社内の取り組みとしては、営業本部と情報システム本部のオフィス統合を行いました。EIC(Electronic Intelligent Commerce)企業への変革に向けた基盤整備の一環として、営業本部と情報システム本部が密に連絡を取り合うことができる環境構築は必須だと考えました。また、「小売からの変革」を掲げている中で、人財への投資としてベースアップを実施しました。全社員の基本給を一律20%引き上げ、新卒初任給は月給305,000円に改定しました。小売業としては非常に高水準の待遇となっており、当社が掲げる「小売からの変革」に対して、従業員一人ひとりが意識を持ち、自信と誇りを持って働ける環境づくりを推進しています。

中期経営計画を発表されましたが、どのような内容でしょうか?

2026年3月期は売上高54,940百万円(前期比4.3%増)、営業利益3,417百万円(同0.6%増)、経常利益3,387百万円( 同0.6% 増)、当期純利益2,303百万円(同14.0%増)を掲げております。一方で、2027年3月期に基幹システムおよびデータウェアハウスのリプレイスに向けて、今期はA Iやテクノロジーを活用した新たなサービス開発を抑制せざるを得ない1年となります。当社としてももどかしさを感じるフェーズではありますが、今後を支えるデジタル基盤の強化を着実に進める重要な1年と位置づけています。そのような中においても、お客様に安心・安全にお買い物を楽しんでいただき、お客様から「選ばれる専門店」であり続けるために、サービス品質の維持と信頼構築に引き続き尽力してまいります。特に、多店舗展開しないビジネス戦略の元、商品に関するデータや作例写真、お客様属性や購買データといった、これまで蓄積してきた貴重なデータを活かしつつ、One to Oneマーケティングを更に深化させていきます。パーソナライズされた情報発信や体験を通して、「お客様とのタッチポイント拡大」を更に強化していくことは、当社の重要な取り組みです。

当社が目指すE I C企業への進化に向けて、今期はその「土台」を整える重要な年でもあります。新サービス創出の準備、システム基盤の再構築、そして部門横断的な体制の整備に注力し、中期経営計画の達成につなげてまいります。
常に進化し続ける企業として、変化を恐れず、技術と人の力を掛け合わせながら、より価値あるサービスの提供に努めてまいります。

「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」については、どう考えていますか?

当社は、資本効率の向上および株主還元の充実を重要な経営課題と位置づけ、これまで配当性向25%~35%を基本方針としておりましたが、2026年3月期より一層の企業価値向上と株主の皆様への利益還元を目指し、配当性向を40%~50%へと引き上げました。また、自己株式の取得および消却についても、財務状況や市場環境をふまえ、機動的に実行してまいります。

ROE(自己資本利益率)については、これまで20%以上の水準を維持してきた実績をふまえ、将来的には30%以上の水準を持続的に維持することを目指します。この達成に向け、商品在庫投資やAI活用、システム強化に加え、人的資本への継続的な投資を推進し、資本効率のさらなる向上を図ってまいります。

1株当たり年間配当額と配当性向の推移

1株当たり年間配当額と配当性向の推移

ROE(自己資本利益率)の推移)

ROE(自己資本利益率)の推移)